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ネタバレレビュー

2017/08/01
Written by madoka

※セリフやイベント等のネタバレが含まれますので、読まれる際は注意して下さい。

ストーリー

「妖刀が切り裂くは ―――……、敵か恋か」


時は戦乱の世。

男装で育った主人公は、動乱の時代の中でも故郷の大塚村で平和な日々を送れていた。

しかし、悲劇は突然に訪れる。

姉弟のように育った愛犬ヨシロウの死、父の切腹 …… 。

そして、主人公の手に渡ることになった妖刀村雨丸。

「父の悲願を遂げたい」

妖刀村雨丸を関東公方に返上するため、大塚村を飛び出し、女だということを隠して旅をすることに決めた主人公。

同じ痣、文字の刻まれた珠を持つ犬士達。

『えにし』を手繰り寄せ、主人公が選ぶ未来とは …… 。


全体感想


ゲームの詳細

このゲームは『南総里見八犬伝』をベースにしたゲームで、3部作の1作目です。

もちろん単独でもプレイ可能ですが、序章のような内容なので、単独だと満足度は低いかもしれません。


内容は男装で育った主人公が、「父の悲願を遂げたい」と妖刀村雨丸を関東公方に返上しに行き、その途中で、同じ痣と文字の刻まれた珠を持つ犬士達と出会う話です。


まず、序章の選択肢で3つのルートに分岐し、さらにそこでの選択肢で個別ルートに分岐します。

個別ルートは第十八章まであり、十九章目の最終章がエンディングになります。


エンディングは BEST END と GOOD END と、BAD END が数種類あり、好感度と選択肢でエンディングが分岐し、BEST END を発生させると『おまけ 甲』、GOOD END を発生させると『おまけ乙』が解放されます。


キャラクターについて

攻略対象は全部で7人で、八犬士の6人は最初から、ヽ大法師は全キャラクリア後に攻略可能となります。

荘助くんに攻略制限はありませんが、ネタバレが多いので、八犬士の中では一番最後(ヽ大法師の前)にプレイするのをオススメします。


主人公は、男装で育ったこともあり、女性であっても考え方が男らしい印象を受けました。

そしてQuinRose特有の、一つのことに固執するところがあるので、そういう主人公が苦手な方は注意して下さい。


システムについて

システム面は、選択肢ジャンプやバックログからの開始、クイックセーブなど、一通り揃っているので、快適にプレイ出来ると思います。

今作には『用語集』というものがあり、文章中の固有名詞などの説明を読むことが出来ます。


スチルは各キャラクター毎に、23〜37種類あり、崩れもなく、綺麗な印象を受けました。


感想

ここからは、『南総里見八犬伝』の知識がない私が持った印象についてです。


私は『南総里見八犬伝』を読んだことがなく、「仁義礼智忠信孝悌」の珠を持ち、犬の字が苗字に付いているキャラと、玉梓という怨霊が出て来ることくらいしか知識がない状態でプレイしましたが、正直、最初にクリアした大角さんの時は、序章では全く意味が分かりませんでした。

もちろん固有名詞には説明が書いてあるのですが、あまりに知らない名前が多かったので、スムーズに内容を理解することが出来なかったんです。

でも、2周目以降からは、1周目に得た知識があるので、何の問題もなくプレイすることが出来ました。


そしてこのゲームの一番の難点だと思ったのが、内容が金太郎飴なんです。

主人公が村雨丸を返上しようと旅に出る → 途中で八犬士たちと出会う → 追われる立場になってしまう → 難を逃れて里見家に集合する

どのキャラクターも、基本はこの流れです。

その中で、個別の内容が少し加わりますが、最終的には八犬士が7人揃ったところで終了します。

もちろん乙女ゲーなので、恋人同士になる展開もありますが、基本となる里見家に関しては疑問が残ったままになるので、まだ1作品しかクリアしていませんが、単独でプレイするより、3部作全てをプレイする方がいいと思います。


浜路が攻略出来なかったことと、次回作ありきの内容だったので、評価は低くしましたが、男装主人公というのはとても魅力的だったので、いつものQuinRoseが好きな方にプレイして欲しいです。


※詳しいことは個別の感想に記載しましたが、気になる点や微妙なところが多かったので、いつもより辛口になっています。

 


犬川荘助(CV:鈴村健一)


キャラクター

『義』の珠を持つ犬士。

主人公と浜路の幼馴染であり、大塚村村長の屋敷の下男。

真面目な性格で、主人公には過保護すぎる面も。

浜路の命で、主人公の旅に同行することになる。


内容

村雨丸を関東公方に返上するために大塚村を出た主人公と荘助は、道節に襲われた際に村雨丸を渡してしまい、一旦大塚村に戻ることにしますが、村に着くと、村長夫妻と新代官が殺され、その夜から浜路が行方不明になっていることを耳にします。

そして浜路からの手紙を見つけた主人公たちは、浜路の行方を捜していると、ヽ大法師から、大塚村の下手人が浜路ということになっていて、既に人相書きが各地に配られ、代官殺しは極刑になると教えられ、主人公たちは浜路が養子に入る前に住んでいた、練馬を目指すことに。

その途中、事件があった日に大塚村にいた女田楽師の毛野と出会い、毛野から、浜路には犬塚信乃(主人公)という許嫁がいると言っていたことと、信乃を始末して浜路の未練を断ち切ることができれば、すぐにでも代官の婿にやりたいと、村長夫婦が仄めかしていたと聞き …… 。


感想

幼い頃からずっと主人公のことを一途に思っている荘助くん。

幼馴染キャラの王道で、とっても素敵なのですが …… 。


大事なことなのでこちらにも記載しておきます。

荘助くんに攻略制限はありませんが、かなりネタバレ要素が多いので、八犬士の中では一番最後(ヽ大法師の前)にプレイするのをオススメします。


内容は、荘助くんの気持ちについて。


子供の頃から一緒に過ごして来た、浜路、荘助くん、そして主人公。

ですが、ある時から荘助くんは村長夫妻の養子である浜路のことを「浜路様」と呼ぶようになり、主人公のことが好きだけと、浜路には敵わないと諦めていましたが、浜路が行方不明になってしまったことにより、自分の手で主人公のことを守りたいと思うようになるという話です。

そして荘助くん編では、大塚村での事件の真相と、他のキャラの時に名前だけ出て来た伏姫様についてが語られます。


雪の降る夜に、村長夫妻の家の前で死んでしまった母親の埋葬代を返すために、本来は武士の子である荘助くんが下人として働くことになり、村長夫妻から酷い扱いを受けていたけど、いつも助けてくれた浜路には感謝しているので、主人公への想いを諦めるようになってしまう。

そんな中、浜路が行方不明になり、主人公はいつも困っている時に助けてくれるのは荘助だということを意識する。

ですが、そこに行方不明になっていた浜路が現れて …… という幼馴染王道の三角関係で、荘助くんの一途な想いがとっても素敵でした!


ですが、私は荘助くんより浜路派でした。

荘助くんも優しくて、主人公のことを大切にしているし、一途で素敵なんですよ?

素敵なんですが、それよりも浜路は見た目も素敵で、主人公のことを過保護なほど甘やかし、そして江口さんの声 …… 。

私は事ある毎に浜路の素敵さにやられてしまい、終いには「なんで主人公は浜路と幸せになれないんだ!」と思ってしまった程でした。

一応荘助くん編では浜路と主人公が恋人同士になるエンディングもあるのですが、荘助くん編なので幸せにはなれませんし …… 。


とはいえ、主人公が他のキャラと恋人同士になった時の荘助くんの寂しそうな顔は、毎回物凄く切ないので、主人公のことを一途に想っている荘助くんが幸せになれるこのルートが、ゲームとしてしっくり来ますし、鈴村さんの声もとっても素敵でした!

ですが、何度も言いますが、本当に浜路が素敵過ぎるんです。

『画廊』をチェックして、浜路が攻略対象ではないと知った時のショックさは凄まじいもので、私と同じように荘助くんより浜路派の方は、微妙な気持ちのままエンディングを迎えることになってしまうかもしれません。


  • オススメのセリフ

何もできず、何も持たず。浜路様に守られてばかりいた僕が …… 、初めて守りたいと思った相手が、君だったんだ。

いつも懸命に、強くあろうとする君のために …… 。

どんなことでもしてあげたい、僕が支えになってあげたいと、そう思った。

僕は、ずっと …… 。君のために生きてきたようなものだったよ。

 


犬山道節(CV:保志総一朗)


キャラクター

『忠』の珠を持つ犬士。

村雨丸を狙う、自信家の妖術使い。

火遁の術を好んで使う。

協調性がなく、自らの志である『打倒・関東管領』のみを貫く。


内容

古河を目指していた主人公と荘助は、村雨丸を狙う道節に襲われてしまい、主人公は荘助と村雨丸を守るために道節と行動することに。

主人公はいつも上から目線で乱暴な態度の道節と喧嘩ばかりしていましたが、一緒に行動するうちに、道節は「俺の背を預けられる人間は、おまえくらいだ」と主人公のことを信頼するようになり、主人公も道節を守りたいと思うようになっていきます。

そして道節は、偶然主人公が女性だと分かると、主人公を気遣うような発言をし、主人公はそのぎこちない優しさにくすぐったさを感じていました。

そんなある日、偶然宿屋で主人公と道節は荘助たちと再会し、嬉しいあまり、主人公が荘助に抱きつくと、道節は不機嫌な様子で主人公を部屋に連れていき、「荘助のことは嫌いだったが …… 、おまえが女だというのなら、尚更荘助が嫌いだ」と、主人公を押し倒して …… 。


感想

まさか乙女ゲーで「仕事と私、どっちが大事?」みたいなセリフが出てくるとは!

しかも主人公に向かって道節さんが言うというのが、また ……(笑)


内容は、道節さんが人と深く関わろうとしない理由について。


子供の頃に毒殺され、なぜか生き返った道節さんは、皆に気味悪がられたので、人を信じることが出来ない。

道節さんの本来の目的は仇討ちですが、いつの間にか八犬士の面々と過ごすうちに、仇討ちと同じくらい、みんなのことを大切だと思うようになるという話です。


道節さんと主人公は喧嘩ばかりしていましたが、恋人同士になってからは、主人公には自分がいればいいだろうと考えるようになるので、序盤でも荘助くんに対して無意識のうちに敵対心を丸出しにしていましたが、主人公が誰かと話しているだけで機嫌が悪くなる束縛タイプでした。

子供の頃から忌み嫌われ、一人で生きて来た道節さんだからこそ、妖術使いである自分のことを気味悪がらず、勝ち気で負けん気が強い主人公に惹かれていき、そして最初にも書いた「おまえは村雨丸と俺とどっちが大事なんだ …… ?」というセリフに繋がる訳です。


さらに主人公が女性だと分かると、雨に濡れた主人公が冷えないように抱きしめたり、「深く関わるのは主人公だけでいい」と言ったり、主人公のことをどう思っているかがが分かりやすく、話を進めていくにつれてとっても可愛く見えて来ましたd!b♪

個人的には道節さん編で大活躍する毛野さんにも惹かれてしまいましたが、保志さんの声の道節さんは、男らしさと可愛らしさを持っていて、一途に主人公のことを想う姿が素敵でした。


最後に、もしかしたらという点を書いておきます。

道節さんは最初、主人公のことを村雨丸の使い手だからと興味を持ちますが、かなり早い段階で主人公自身を気に入ります。

そして主人公が男性だと思っている状態で、主人公のことを好きになっているような、BLっぽい雰囲気を醸し出すんです。

これは主人公が本当は女性だと気付いていないキャラにも共通して言えるのですが、私の場合は、主人公が男装しているということが分かっているので、嫌悪感を抱くことはありませんでしたが、この辺りが苦手だと感じる方もいるかもしれないので、そういうのが苦手な方は注意して下さい。


  • オススメのセリフ

…… どこにも行くな。俺のそばを離れるな。

おまえは他の男にも無防備だし、目の届くところに置いておかないと落ち着かない。

…… 命令だ。おまえに拒否権はない。

どうとっても構わない。おまえの好きなように考えろ。 …… 何でもいいから、俺から離れるな。

 


犬飼現八(CV:岸尾だいすけ)


キャラクター

『信』の珠を持つ犬士。凄腕の長十手使い。

無表情で一見何を考えているのか分かりづらい。

しかしその言動は合理的で無駄がなく、常に冷静沈着。

獄舎番だったが、関東公方の怒りを買い、現在は牢に繋がれている。


内容

主人公と荘助は、偶然出会った大角と共に現八の脱獄を手伝い、主人公と現八は追手から逃れて小文吾のもとで身を隠していると、主人公はそこで顔が瓜二つの房八と出会い、房八は自分の命と引き換えに主人公たちを逃し、主人公も房八に生かされた命で懸命に生きようと決意します。

そんな中、以前から主人公が女性だと気づいていた現八は、「もし困ったことがあるのなら、頼れ」と言ってくれますが、主人公はいつでも物事を冷静に判断でき、揺るぎない自分を持っている現八を尊敬しているからこそ、足を引っ張りたくない。

男装で生きることを選び、武士として刀を持つことを選んだのだから、憧れである現八だけには頼りたくないと思っていました。

そして、以前は離れ離れになってしまった荘助のことが心配で仕方がありませんでしたが、今は不安な気持ちもなく、いつの間にか現八の存在が大きくなっていることに気づきます。


感想

現八さんは口数が少なくても優しくて素敵だったのに、なぜ最終章で房八さんのスチルが。

房八さんの一件は大事なことなのですが、せっかく忘れかけていたあのシーンをここで思い出させるとは ……。


内容は、刀を振るうことの意味や覚悟について。


主人公は、現八さんから刀を振るう意味や覚悟を教わり、現八さんの発言、行動、態度、全てに憧れるようになります。

そして現八さんのことを守りたいと思うようになりますが、現八さんの背中は孤独で、主人公は現八さんに背中を預けることはあっても、現八さんは主人公に背中を預けようとしないという話です。


現八さんは、長十手の腕が名人級で、いつでも物事を冷静に判断できるし、揺るぎない自分を持っているので、主人公の先生のようなポジションで、主人公が憧れていくのも分かりましたし、本当に格好良いんです!

主人公が女性だと分かっていても、あえてそれを指摘せず、主人公に分かっていたことを伝えた後も、ちゃんと武士として扱い、刀を振るうことの意味や覚悟を教えてくれる。

言葉も少なく、特別優しい訳でもないけれど、不器用な触れ方や心配そうな眼差し、さらにイケメンで岸尾さんの声 …… 。

最初から好みなキャラクターだと思っていましたが、プレイしてみたら本当に素敵なキャラクターでした!


ただ、房八さんの一件が。

序盤に、主人公と瓜二つで小文吾さんの義弟の房八さんというキャラクターが登場し、自分の首を主人公の首と偽って差し出すように言い、自ら犠牲となって主人公たちを逃すという場面が出て来るんです。

原作にもそういうシーンがあると常連の方に教えて頂きましたが、私は『里見八犬伝』の知識がないので、これが凄く微妙で。

結局房八さんの命を使っても少しの時間稼ぎにしかならなかったですし、正直、乙女ゲーなのでそこまで原作通りにやらなくてもいいのではないかと思いましたが、刀を振るうことの意味や覚悟を教えた現八さんだからこそ、この場面があったのかなとも思います。


ですが現八さん自体はとっても魅力的なキャラクターなので、原作を知っているという方ならもっと楽しめると思います!


  • オススメのセリフ

おまえはよく頑張っている。

どうしてそんなに頑張ろうとするんだ …… 。一人で、傷だらけになってまで。

…… 先刻、おまえは自分のことを弱いと言ったが、俺はそんなことは思わない。

…… おまえは、強い。

 


犬田小文吾(CV:浪川大輔)


キャラクター

『悌』の珠を持つ犬士。

行徳にある宿、古那屋の息子。情が厚く、仲間思い。

武器は大きな棍棒で、犬士一の力持ち。


内容

主人公、荘助、毛野と共に古河を目指していると、偶然古那屋の息子である小文吾に出会い、一緒に行動することに。

その後、主人公たちは現八と大角と合流し、大塚村の様子を見に行った荘助が、濡れ衣で処刑されそうになるところを何とか救出します。

荘助救出後、近くの村で休憩をした一行ですが、出発になっても小文吾が戻って来ないので、主人公が小屋の中を確認すると、毛野が小文吾の胸に手を当て、動揺している小文吾との距離を詰め、二人の唇が付きそうになっているところを目撃し、主人公は慌てて小屋を出ます。

小文吾は大雑把で単細胞ではありますが、面倒見が良く、優しい人なので、主人公は小文吾のことを大切な仲間だと思っていましたが、先程の毛野と小文吾の様子はただならぬもので、二人だけの世界がそこにあり、主人公は思い出す度になぜか胸が痛くなってしまいます。


感想

第十二章の「ええええ!!!?」と「待て、ごらあああああ!!」聞きました?

私、浪川さんのこういうの大好きです。


内容は、小文吾さんの心境の変化について。


父の悲願を達成するために、男装して大塚村を出た主人公と出会った小文吾さんは、主人公と一緒に過ごすうちに、なぜか男性である主人公を見るとどきどきするようになります。

小文吾さんは、主人公が女性であることに気付いていないので、男性である主人公のことが気になることを悩んでしまうという話です。


小文吾さん編は、男性である?主人公のことを好きになって悩んでしまう小文吾さんと、毛野さんと小文吾さんが両思いだと思ってもやもやしてしまう主人公の恋愛描写がメインなので、他のキャラに比べるとシリアスさは少なく、どちらかというと微笑ましい内容でした。

特に毛野さんが重要なポジションで、主人公が女性であることを最初から分かっていましたし、小文吾さんが主人公のことを好きだと分かっているのにも関わらず、あえて2人の中を引っ掻き回すような行動に出るので、そこが腹黒くて面白かったです。


小文吾さんは、単細胞でおバカなキャラですが、人一倍情が厚くて優しい面もあり、主人公のせいで小文吾さんの父が人質になった時も、みんなが助かる方法を一生懸命考える姿がとても可愛く、なんだかんだ言いながら、現八さんが小文吾さんの面倒を見てしまう気持ちも分かりました。

思慮深さに欠ける部分はありますが、逆に楽天家でお人好しな部分が魅力的なんですd!b♪


個人的には、小文吾さんより毛野さんの色気が気になって仕方がありませんでしたが、終盤の小文吾さんは主人公のことが大好きだということを前面に出し、意外と独占欲が強くてヤキモチ妬きなので、内容的にも他のキャラクターより乙女ゲーらしさが出ていたように思います。

そして今回CVの浪川さんが低めの声でしゃべっているので、いつもとは違った雰囲気の浪川ボイスを楽しむことが出来ました。


  • オススメのセリフ

力、入れ過ぎて血が出てるぜ。 …… かなり堪えたみてえだな。

手、握るのは止めねえけどよ。あんまり自分を痛めつけるな。

握りたければ、俺の手を握ればいい。俺だったら、爪が食い込むくらいの傷、大したことじゃねえ。

だから自分を傷つけんな。少しくらい頼れ。受け止めてやるから。

 


犬坂毛野(CV:立花慎之介)


キャラクター

『智』の珠を持つ犬士。

女田楽師であり、見事な舞を披露する。芸名は旦開野。

主人公も憧れを覚えるほどの美女。


内容

主人公と荘助は女田楽師である毛野と共に古河を目指しますが、途中から荘助と別れ、主人公と毛野は偶然出会った小文吾と行動することに。

ある日、野宿中に目を覚ました主人公は、毛野が村雨丸と共にいなくなっていることに気づき、2人は毛野がいるという武蔵国へと向かいます。

そして武蔵野国で、成り行きで手柄を立てることになり、千葉家の家老である馬加大記の屋敷に招かれ、そこで毛野を発見します。

その夜、主人公は馬加に反逆に与するよう言われたのを断ったことで、殺されそうになってしまいますが、偶然毛野に助けられ、毛野から話を聞き、毛野の用事が終わったら主人公のことを迎えに来るという約束をします。

そして数日後の夜、約束通り毛野が主人公を迎えに来ますが、語りかけてくる声音はいつもより低く、言葉遣いも砕けていて、何より男性のような服装をしていて …… 。


感想

「 …… いいよ。どこをどんな風にしてほしいのか、言ってごらん?」って!!!

立花さんの声の色気が凄まじくて、逆に笑っちゃいました(笑)


内容は、毛野さんの悲願と、他人との関わり方について。


毛野さんは、父親の仇である籠山逸東太と馬加大記を倒すためだけに生きて来たので、誰かを利用することはあっても、頼りにしたことはありませんでしたが、自分のことを女性だと思って、身を呈して守ってくれた主人公のことが気になり、主人公のことだけは信用するようになるという話です。


そして毛野さんが女田楽師になっている理由ですが、私も単に周囲を油断させて、敵に近づくための変装だと思っていましたが、一族が処刑され、難を逃れた毛野さんの母親が毛野さんを産み、素性がばれると殺されてしまうので、女の子として育てられたそうです。

なので、主人公のことは最初から女性だと気づいていましたし、みんなにも女装していることを隠すのが上手かったというわけです。


ということで、毛野さん編は、恋愛面より毛野さんの悲願がメインの内容で、意外と甘さはなかったように感じました。

終盤の終盤まで仇討ちの内容でしたし、なにより主人公が中盤まで毛野さんのことを女性だと思っていたことが大きいと思います。


そして毛野さんの本来の姿?も素敵でしたが、主人公と女装している毛野さんの組み合わせの方が、良いような気がしました。

毛野さんの男装?を見慣れていないためか、言葉遣いや声色の違いなど、女装している時の方が色っぽくて、そりゃ小文吾さんもやられちゃうというレベルなんです。

もちろん立花さんの声なので、男性の時と女性の時の両方とも色気が凄まじかったのは言うまでもありませんが。


個人的にちょっとだけ気になった点は、毛野さんが馬加大記に気に入られて目的のためについて行ったという場面があるのですが、あれだけ綺麗な人なら普通は手篭めにされそうになり、男性だとバレてしまうのではないかと思うんです。

本編では「無理を強いるくらいなら、どうぞ殺してください」と言って逃れていたと説明がありましたが、少し無理があったように感じました。


とにかく毛野さんは、色気もあって策士で腹黒いところがあるので、色っぽくて好きな子を揶揄ってしまうキャラが好きな方はオススメです。

私は、本編より『おまけ 乙』が組み合わせ的にも好きでした。


  • オススメのセリフ

…… あなたは、とても強いんだね。本当に、不思議な子だ。

こんな小さな手で戦って、細い身体で私の前に立って …… 。口先だけで理想を掲げるのではなく …… 、私を守ってくれた。

妖刀、村雨丸があなたを選んだのは、そういう強さに惹かれたからなのかもしれないな。今ならそれが、よく分かる …… 。

 


犬村大角(CV:小野友樹)


キャラクター

『礼』の珠を持つ犬士。

庚申山の近くにある自分の村を救うため、現八を脱獄させようと試みる。

穏やかで、優しい性格。

古今の書物に精通しており、非常に物知り。


内容

偶然大角と出会った主人公と荘助は、現八の脱獄を手伝い、追っ手を逃れて現八の乳兄弟である小文吾がいる古那屋で身を隠すことに。

その後、荘助には壊滅状態の大塚村の様子を見に行ってもらい、主人公は大角、現八、小文吾と共に、大角の村へと向かいます。

大角の村では、数年前から村の風習に使われる洞穴で惨殺事件が発生していて、大角の父が真相を探りに山へ入りましたが、戻って来た大角の父は、事件は山に棲みつく化け猫のしわざなので、生贄を捧げれば事件は収まると言い出したそうです。

そして生贄には大角の幼馴染である雛衣が選ばれ、反対した大角は父に離縁され、大角は雛衣を助けるために現八を探していたと説明されます。

その後、主人公たちは無事に村へと到着しますが、大角は現八に、最悪の場合に父親を失う覚悟がまだ出来ていないことを指摘されてしまいます。


感想

これ、『忍び、恋うつつ』の鎌清くんじゃない?

同じ小野友樹さんで、同じようなキャラだからそう感じるのかもしれません。


内容は、守るものを決める覚悟について。


大角さんは、子供の頃から父親に武士道を教えられ、人を守るための優しさを忠実に守ってきました。

ですが、父親が豹変してしまったことで、雛衣さんを助け出す際に、最悪の場合はその父を斬らなければならないという、覚悟を決める話でした。


まずは少し気になった点から書きます。

大角さんは、序盤から「早く村に帰らないと幼馴染の雛衣が …… 」みたいなことを多々言うので、小文吾さんが思わず「その女に惚れているんじゃねぇの?」と言う場面があるのですが、もしかしたら大角さんの優しさからの優柔不断さが、苦手な人は苦手かもしれません。


もう少し詳しく書きますと、大角さんが救出しようとしている雛衣さんは、幼い頃から大角さんのことが好きで、優しいから人を傷つけることを躊躇う大角さんのことを守らなくちゃと思っていたんです。

そんな雛衣さんに懐妊疑惑?が発生するのですが、その時の大角さんの対応が、妹のような存在なのか、それとも …… と微妙なんです。

もちろん大角さんは、主人公のことを好きになりますし、雛衣さんへの気持ちを「親愛の気持ち」とハッキリ言っているので、私はあまり気になりませんでしたが、「これは苦手な人はいるだろうな」と感じたのも事実なので。


大角さんというキャラクター自体は、知識が豊富で、現八さんたちほどではなくても刀の腕も立ち、そして自分を助けてくれた主人公に「いつだって主人公の味方だし、1人で抱え込もうとせず、頼って欲しい」なんて言うので素敵でドキドキはしましたが、キャラとしては地味だったような。

天然で不幸体質なので、主人公が支えてあげたいと思うのも頷けましたが、『忍び、恋うつつ』の鎌清くんと見た目も似ていますし、鎌清くんから少しムッツリを引いたようなキャラなので、無難な感じはしました。


深く考えず一番最初に大角さんを攻略しましたが、小野友樹さんのインテリメガネ系は好きな方ですし、私には『里見八犬伝』の知識がないので、概要を理解するという意味でも、一番最初に攻略して良かったと思っています。


  • オススメのセリフ

君がいなかったら、僕はこんなに、強くなりたいなんて思わなかったかもしれない。

君は …… 、僕より体も小さくて細腕なのに、村雨丸に選ばれて …… 。それをなぜだろう、と思っていたんです。

でも …… 、一緒にいろんなことを乗り越えるうちに、君の強さが分かってきた。刀の実力もありますが …… 、何よりも心が強い。

そんな君に …… 、僕はやっぱり憧れます。

 


丶大法師(CV:黒田崇矢)


キャラクター

気に入らないことがあると錫杖で殴る不良法師。

馬に乗ったり、酒を飲んだりと、到底僧侶とは思えない破天荒ぶり。

しかし、時としてその発言が主人公達を導く。

八犬士達を集めたがっているようだが、その目的は不明。


内容

荘助とはちと共に古河に向かった主人公は、そこで出会った大角と協力して現八を脱獄させ、逃げる際に川に落ちて意識を失ってしまいます。

流された主人公は、村を出る前に、痣と珠を持つ八犬士を集める旅をしていると言っていたヽ大に助けられ、その後は現八の乳兄弟の小文吾がいる行徳へ向かい、無事に荘助たちと合流し、八犬士が6人揃います。

しかし主人公と瓜二つの房八が犠牲となったことで、新兵衛が八犬士だと分かり、はちは新兵衛を伏姫のいる富山へと連れ去ってしまいます。

主人公は今後について悩んだ結果、ヽ大の言葉は他の誰に言われる言葉よりも重みがあり、信じられると感じていたので、ヽ大の伝手を使って里見公に村雨丸を献上することを条件に、みんなの身柄を確保してもらおうと考え、ヽ大と共に富山を目指します。


感想

ヽ大法師編は、意外と切なめでした。

そして甘さはかなり控えめなので、ヽ大法師目当ての方はちょっと残念な内容かもしれません。


内容は、ヽ大法師が八犬士を集める旅をしている理由について。


ヽ大法師は、大切に思っていた伏姫様を殺してしまった過去があり、罪を償うために出家して、八犬士を集める旅をしていました。

それを知った主人公は、ヽ大法師のことを好きになってしまったけど、ヽ大法師がまだ伏姫様のことを好きなのではないかと考えるという話です。

そしてヽ大法師は他のキャラを全てクリアしないと攻略出来ないので、伏姫様やはちについて、そして里見家の呪いについてが語られます。


ヽ大法師の旅は贖罪の旅なので、自分は幸せになってはいけないと思っていますし、主人公がヽ大法師のことを好きだと伝えても、出家していることもあり、なかなかそれに応えようとしません。

さらに伏姫様が登場するので、その辺りがちょっと切なめな展開になり、ラストも大団円のような展開なので、甘さは控えめな印象でした。

そして、中盤までは他のキャラの時に見た内容が多く、主人公との恋愛というより里見家関連の話がメインで、その点はちょっと残念でした。


そして少しだけ気になった点を。

ヽ大法師編では他のキャラをクリアした際に謎だった部分が分かるようになっていますが、それが最後の方に駆け足で進むので、説明不足だったように思います。

8つの数珠が飛んで行っただけで、なぜ『八犬士』という名前が分かったのか、死んだはずの伏姫様がなぜ力を使うことが出来るのか。

八犬士がいるだけで里見家は呪いから解き放たれるのか、など、『里見八犬伝』の知識がある方は別ですが、知識がない私は分からないままの部分が多くありました。

これについては2作目、3作目と続編があるので、もしかしたらそちらで語られるのかもしれません。


ヽ大法師自体は、型破りで破天荒な僧侶という顔の裏で、本当は心に傷を負っていて、人に対して思いやりや包容力があるので、黒田さんの声と合わさってとても魅力的で、主人公との年の差があっても何の違和感もなくプレイ出来ました!

そして、ヽ大法師とはちのやりとりが、時間を追う毎に変化していくので、そこがすごくオススメです。


  • オススメのセリフ

いつから、か …… 。もう、どのくらい前になるんだろうな …… 。俺はあんたを …… 、あんた達を探していた。

多分、八犬士であるあんた達より、この運命を待っていたのは俺だ。 …… 俺は、あんた達の存在に救いを求めているんだよ。

ずっと、ずっと、ずっと …… 、俺は待っていたんだ。あんた達八犬士に出会えるときを。

あんた達に出会うことで、俺は救われる。自己満足で傲慢なのは分かっているが …… 、これは俺の罪滅ぼしなんだよ。


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