ネタバレレビュー
Written by madoka
※セリフやイベント等のネタバレが含まれますので、読まれる際はご注意下さい。
ストーリー
戦乱の世において独自の発展を遂げた伊賀と甲賀。
両忍軍はその長い歴史において、互いを憎み合う敵対関係にあったが、天正九年、織田信長による「天正伊賀の乱」により伊賀が滅亡。
わずかに生き残った伊賀忍たちは甲賀に取り込まれた。
それから十七年、戦国時代は終わり、世には久方の平和が訪れていた。
甲賀の長・上野勘道の娘、槐(主人公)は忍び仕事に出る日を夢見て、日々修練を積んでいた。
そしてついに選ばれた初任務で、主人公そして里の運命を狂わせる大事件が起きる ――― 。
全体感想
ゲームの詳細
梯太さんのイラストが大好きなのと忍者物なので購入しましたが、購入して良かったと思います!
特に半蔵が私好みだったので、久しぶりに『サイト概要』の好きなキャラクターに追加してしまった程です。
って、ここは全体の感想を書く場所でした。
まずはゲームの詳細についてです。
内容は甲賀の長の娘である主人公が初任務で秀吉暗殺の濡れ衣を着せられて、逃亡するストーリーです。
攻略対象は5人で攻略制限はなく、どのキャラからでも攻略することも可能です。
好感度は選択肢のみで変化し、共通ルートの好感度で個別のルートに分かれ、短いキャラクターで11章、長いキャラクターで13章構成で、各キャラクターには HAPPY END と BAD END が1つずつあります。
主人公は凄く真面目で一生懸命なので、あまり好き嫌いが出るようなタイプではないように感じました。
システム面は一応クイックセーブはありますが選択肢が表示された場面では使えませんし、選択肢ジャンプも無いのにもかかわらず、回想録は全選択肢を試さないと埋まらないので、快適とは言い難い設定になっています。
感想
このゲームの一番のポイントは個別ルートの内容だと思います。
個別ルートは大きく2つに分かれていて、一つが主人公は秀吉暗殺の犯人なので、里のみんなが追忍となり、仲間同士で戦うルート。
もう一つが、五大老が後見人の座をかけて秀吉暗殺の犯人である主人公を捕まえようとするルートです。
この仲間同士で戦うルートの方が微妙で、主人公を殺さないと自分たちが死ぬことになるので、ほとんどのキャラが死んじゃうんです。
分かりやすく言うと『バトル・ロワイヤル』みたいな感じです。
しかもクリアすると気分が悪くなるというか、言葉遣いが悪くて申し訳ないのですが胸糞悪くなります。
なので、そういうのが苦手な方は絶対にプレイしない方がいいと思います!
HAPPY END はどのキャラも駆け足で進み、帳尻合わせのようなご都合主義なところは残念でしたが、BAD END は忍者らしい納得出来る終わり方だったので、むしろ BAD END の方が個人的には好みでした。
影の存在である忍者がテーマなので、仲間同士の戦いや BAD END が苦手でなければプレイしてみて欲しい作品です。
月下丸(CV:羽多野渉)
キャラクター
歳の時に親を亡くし、弟の黒雪と共に主人公の家に引き取られた。
子供の頃から護衛役として主人公に仕えており、主人公に対して絶対の忠誠心を持っている。
真面目で忍びとしての能力も高く、里の者からの信頼も厚い。
すべてにおいて主人公を優先して生きており、主人公を大事にするあまり過保護になりすぎてしまうことも。
内容
太閤暗殺の罪を着せられ、捕らえられた槐。
槐の父、勘道は甲賀の里に累が及ばぬよう、娘を切り捨てる。
忍びにとって里の命令は絶対だが、月下丸は槐の護衛役を全うするため勘道の命に背き、槐を救い共に逃げることを決意する。
感想
最初から最後まで「槐様、槐様」って月下丸はどんだけワンコなんだ!
このゲームを攻略する少し前にクリアしたゲームでは羽多野さんCVのキャラクターが軟派タイプだったので、あまりの真逆さに驚いてしまいました。
月下丸編は主人公が豊臣秀吉暗殺の濡れ衣を着せられ、捉えられた主人公を月下丸が逃して一緒に逃亡したことで、2人は他の甲賀忍者に追われてしまうストーリーです。
この豊臣秀吉暗殺の真相は普通に予想出来る内容だと思います。
他には月下丸が主人公のことを自分の命をかけて守ろうとする理由についてです。
一番最初に月下丸をクリアしたのでどこまでネタバレしたらいいか悩んでしまいますが、とにかく月下丸は完璧なワンコタイプでした。
今回は羽多野さんCVですが、前野さんが担当しそうなワンコキャラと言えば分かりやすいでしょうか?
とにかく主人公のことを一番に考え、心配だからこっそり遠くから見守り、自分が怪我をしていようが熱があろうが、主人公のために自分よりも強い相手にでも命がけで向かっていくキャラクターです。
月下丸は甲賀の長の娘である主人公のことを守る役目を担っているので、どこまでが従者としての考えか、それとも個人的な考えなのか。
主人公は従者という立場ではなく月下丸と一緒にいたいと思うし、月下丸も主人公と一緒に常にいたいと願うというやり取りが、初心で真面目で不器用な2人らしくて微笑ましく思いました!
ただ、月下丸の一途過ぎる主人公への想いはかなり重いので、苦手な方もいるかもしれません。
そして内容が仲間同士で戦わなければならないストーリーだし、クリア後あまりいい気分がしなかったのが残念でした。
他のキャラも同じなのでしょうか …… 。
オススメのセリフは月下丸がどれだけワンコか分かるものを選んだので、月下丸というキャラクターの雰囲気を掴んでもらえたら嬉しいです。
- オススメのセリフ
◯◯様、俺にとって貴方は天です。
月である俺は、どんなことがあろうとも決して貴方から離れることはありません。
例え、貴方が甲賀の忍びでなくなろうとも二度と甲賀の地を踏めなくなろうとも ――― 。
貴方が、俺の守らなければならない大切な方だということに、なんら変わりはないのですから。
黒雪(CV:下野紘)
キャラクター
月下丸の弟で主人公の乳兄弟。
生まれてすぐ兄の月下丸と共に、主人公の家に引き取られた。
性格は明るく楽天的、要領がよく狡賢い面も。
八歳の時に長期の任務で里を出たが、この度任務を終え八年ぶりに甲賀に帰ってくることとなった。
内容
太閤暗殺のかどで伏見城に捕らえられた槐に、三成から「甲賀の仲間達はすでに京を去った」と知らせが入る。
絶望する槐の元に、怪我を負った黒雪が助けに現れた。
「オレだけはおまえの味方だよ」
八年も甲賀を離れていた黒雪にとって、里の命令は絶対ではない。
それでも槐はこのまま逃げてしまっていいのかと迷う。
感想
黒雪は下野さんだし可愛い年下系かと思いきや、まさかのヤンデレ。
途中からなんとなく分かってはいたのですが、程度はそんなに重くないとはいえ私が苦手なヤンデレとは …… 。
黒雪編は「犯人を捕まえた者こそが秀吉の息子である秀頼の後見人なり」という遺言状により、主人公が五大老の各忍びから狙われてしまい、黒雪と一緒に逃げるという話です。
黒雪は8年振りに戻ってきて主人公のことが好きだというけど、なぜか昔のことをあまり覚えていないというところが重要でした。
黒雪は8歳の時に任務で里を出てから8年ぶりに戻ってきたので、ずっと会いたかった主人公と一緒にいたい。
主人公は子供の頃から一緒だった黒雪が帰ってきてくれて嬉しいけど、月下丸の名前を出すと不機嫌になったり、主人公のことを好きだといってキスしたりする黒雪に動揺してしまう。
2人で逃亡するうちに黒雪が主人公にどんどん固執していって、終盤はヤンデレ …… 。
色々秘密があるだろうなとは思っていましたが、子供の頃は泣き虫だった黒雪がメチャ強になっていた理由がこういう系でしたか …… 。
ってネタバレレビューなのにあまりネタバレしていませんが、要は8年前に黒雪が任務に出されたところから実は話が始まっていて、全ては今回の一件に繋がっているということでした。
同じ兄弟でも月下丸の時はあまりに死にまくる展開がちょっと微妙でしたが、弟はヤンデレではありますがそういうのが無いのがまだ救いでした。
エンディングは兄弟揃ってかなりのご都合主義ではありましたが。
ということでオススメのセリフは迷ったのですが、黒雪がどんな感じのヤンデレなのか分かるセリフを選んでみました。
他にも下野さんが絶叫するシーンが結構あるので、そこも見所です!
- オススメのセリフ
どんな敵が来ても絶対に守ってあげる。
甲賀の仲間だって半蔵だって関係ない。
誰が相手だろうと、おまえを守るために戦うよ。
だから◯◯、何も心配することないからね。
ずっとずっと二人でいよう。二人だけでいようね。
百地蝶治郎(CV:鳥海浩輔)
キャラクター
伊賀忍長・百地丹波の息子で主人公の従兄。
六歳の時、「天正伊賀の乱」により伊賀が滅亡し両親も亡くした。
滅んだ伊賀忍長の息子ということで、常に身をわきまえている物静かな人間。
忍びとしての能力は甲賀でも指折りで、主人公や月下丸達の師匠でもある。
内容
甲賀の長・勘道に、槐を見捨て里への帰還を命じられた蝶治郎。
捕らえられた槐を助けたいと思ってしまう蝶治郎の脳裏に、十七年前、伊賀を滅亡させた「天正伊賀の乱」の悲劇がよぎる。
秀吉殺害の関与を疑われたら甲賀は伊賀の二の舞になる。
己に選択肢はない ――― 。
歯噛みする思いで蝶治郎は甲賀へと向かう。
感想
鳥海さんの兄様 …… 素敵に決まっていました!
従姉妹で師匠で物静かなイケメンですよ?最初から素敵そうだなと思っていました。
内容は主人公は月下丸と五右衛門と一緒に逃亡し、追忍となった蝶治郎たちと戦うストーリーです。
蝶治郎は過去のことで自分の幸せを求めない傾向にあるので、任務と主人公への思いの葛藤が重要でした。
展開は月下丸の時とほぼ同じなので、月下丸の次に攻略するのがいいかもしれません。
蝶治郎は6歳の時に「天正伊賀の乱」で両親等を亡くしているので、それ以降大切なものが出来ないよう何も望まないように、命令を絶対として生きてきた。
だから主人公を討てという命令が下った時も、弟子達は動揺する中、蝶治郎は主人公を殺さないとまた里のみんなを殺されてしまうから、主人公のことを追うことにするんです。
で、PVにもあった蝶治郎が主人公の首を絞めるシーンにつながるというわけです。
主人公は兄様のことが大好きなので、褒められたいから頑張るし、寂しい時は兄様の服の袖を掴んでしまうというキャラクターなので、蝶治郎が可愛がる気持ちも分かりました。
月下丸は忠犬もしくは番犬タイプでしたが、蝶治郎は優しく見守るタイプですね。
そして先程も書きましたが、蝶治郎編も月下丸と同様に仲間との戦いになります。
公式HPで鳥海さんが「忍びはあくまで影の存在であって、人知れず命を落とすのが当たり前」とおっしゃっていましたし、そう思えはいいのかも。
私の場合は、正直1周目の月下丸の時はかなり嫌な気持ちになってしまったのですが、2回目ということもあり予想できてはいましたけど、それでもいい気分はしませんでした。
ですが蝶治郎の持っている寂しさというかストイックさというか、そういうところがすごく忍びらしいというかとても魅力的だったので、あまり感情を表に出さない蝶治郎が笑ったり、涙を見せずに泣いたりするシーンは是非見て欲しいです。
オススメのセリフもそんな蝶治郎らしいセリフを選んでみました。
- オススメのセリフ
無駄だとわかっていても強く握らずにはいられなくなるんだ。
砂を握っているようなものなのに …… 。
こぼずまいと強く握れば握るほど指の間からこぼれ落ちていく。
私にとっての幸せがそれだ。
服部半蔵(CV:津田健次郎)
キャラクター
“最強の忍び”と言われる徳川忍組筆頭。
十二歳の時に、徳川家に仕えるため里を出た元伊賀忍で生まれた時から忍びとしての教育を徹底されてきた。
何事にも冷静で決して私情を挟まない。
使命のためなら手段を選ばない冷酷さを持つ。
内容
「仇を討った者を後見人とする」という秀吉の遺言状により、五大老から命を狙われることになった槐。
「槐を討たせてはいけない」
覇権争いを避けるため、家康から槐の守護を命じられた半蔵は、主命を遂行すべく槐を連れ、殺気立つ追っ手をいなしつつ逃亡を図る。
感想
さすが『最強の忍び』です!
津田さんが「塩対応からのギャップ」と仰っていた意味が分かりました!
半蔵編は主人公が月下丸と共に逃亡し、その後、半ば強制的に半蔵と一緒に行動することになり、その中で忍びとして成長していくストーリーです。
今まで里のみんなに守られてきたけど半蔵には守られることを期待してはいけない。
2人で一緒に過ごしているうちに、主人公は半蔵の前で弱い自分を見せたくないし、一人前の忍びでいたいと思うようになります。
ルート的には黒雪と同じですが、かなりネタバレ要素が多いので、黒雪の次に攻略するのがいいと思います。
実は私、半蔵編でちょっと泣きそうになってしまいました。
あくまで「泣きそうになった」というレベルなのですが、他のキャラの内容から泣きそうになるということを全く予想していなかったので、かなり驚きました。
半蔵編をプレイするとその展開は予想出来ていたのですが、やはり津田さんだから …… そこが大きかったように思います。
半蔵は口数も少なくそっけなくて、家康様からの任務だから「主人公を守る」ではなく「主人公を死なせない」というのに徹するんです。
「主人に与えられた任務を果たすこと。それが忍びの役目だ」という半蔵ですが、主人公と一緒に過ごすうちに、主人公をちゃんと忍びとして成長させていきます。
で「塩対応からのギャップ」に繋がる訳ですが、主人公に花を見せようとしたり、「おかえりなさいませ」と言われて動揺したり、寒がっている主人公を抱きしめて眠ったり、最初からは考えられない程どんどん甘くなっていき、終盤は全キャラの中で一番の甘さだったと思います!
私は半蔵が「その意気や、よし」と言うのが凄く好きでした。
今まで津田さんの色々なキャラを攻略してきて「一番素敵だったのは弁慶かな」と思っていたのですが、半蔵はその上を行く素敵さでした!
って、めちゃめちゃ褒めてばかりいるような?
半蔵はかなり好みなのでオススメのセリフも迷いに迷ったのですが、このセリフを選んでみました。
他にも先程書いた寒がっている主人公を抱きしめている時の囁きもオススメです。
- オススメのセリフ
お前は、ここにいるのがいい。
声を殺して一人で泣かずともいい。
――― 俺がここにいるだろう。
今は俺達しかいない。◯◯ …… 。
石川五右衛門(CV:緑川光)
キャラクター
京の都を荒らしまわる大泥棒。
実態は金持ちから金を盗み、貧しい人々に分け与える義賊で街の人々からの人気は高い。
普段は「遊び人の五郎」を騙っている。
京で五大老会議が開かれることになり、石川五右衛門の捕縛を焦った石田三成が甲賀の忍び達を使うことにした。
内容
槐の手によって捕らえられた天下の大泥棒、石川五右衛門。
秀吉殺害の咎(とが)で同じ牢に囚われた槐を不憫に思い、ともに脱獄する。
行き場もなく途方にくれる槐に、ほとぼりが冷めるまで夫婦のふりをしながら、一緒に旅に出ることを提案する。
感想
ああ、良かった。
五右衛門っていうと『釜茹で』のイメージだったので、プレイ前は主人公と共に処刑されるの予想していましたが違って安心しました。
攻略順ですが、黒雪と半蔵と同じルートではありますが、独自の内容なのでいつでもいいのですが、一応黒雪は先に攻略した方がいいかなと思います。
私は一番最後に攻略しましたが、それで良かったと思っています。
五右衛門編は里に迷惑がかからないように、五右衛門が主人公を盗んだことにして共に脱獄するストーリーです。
その中である少年と出会ったり、五右衛門が実は元風魔忍軍の頭である風魔小太郎だったということが分かり、月下丸も加わって、忍びたちを退治しつつ蝶治郎たちとも合流することが出来るのですが、ある理由で蝶治郎たちは五右衛門に殺されてしまうという展開です。
私は歴史に詳しい方ではありませんが、石川五右衛門というと百地丹波の弟子だったというのは知っていたので、蝶治郎と繋がりがあるという設定は予想通りでした。
さすがに風魔小太郎だとは思ってはいませんでしたが。
五右衛門は女性に優しいフェミニストで、どのルートでも主人公に優しく接します。
個別ルートでは夫婦のふりをしながら逃亡生活を続けますが、五右衛門の甘い言葉やスキンシップに主人公はどう対処したらいいのか分からなくなり、一方の五右衛門は可愛い女の子を軽い気持ちで助けたけど、日々一緒に過ごすうちに主人公のことを守ってあげたいと思うようになるんです。
ですが、先程も書いた通り五右衛門が里の仲間を殺してしまうという流れになるので、人を殺さないようにしていた五右衛門がどうしてそうなってしまうのか、そして主人公が五右衛門の言葉を信じられるかがポイントでした。
とにかく五右衛門は緑川さんの声が魅力的で、しかも個人的に緑川さんはこういう大人の声Ver.の方が好みなので、それだけで満足でした!
緑川ボイスのフェミニスト設定って素晴らしいと思いません?
内容は予想通りに進み過ぎて正直物足りない感はありましたが、石川五右衛門はこうでなくちゃダメだと思うので、これで良かったのかなと思います。
フェミニストタイプがお好きな方はドキドキ出来るはずです。
- オススメのセリフ
可愛い女の子と …… いや、お嬢ちゃんと出会い、一緒に過ごせてよかったよ。 …… 本当にありがとう。
それに、これが今生の別れってわけじゃないだろう?
生きていればきっとまた会えるさ。
だから、大丈夫。悲しいことなんて何もない。